経管栄養療法は、条件を満たせば介護職員も実施することができます

最終更新:2021/5/31

嚥下機能の低下などにより、自力での栄養摂取が難しくなった場合に行う「経管栄養」療法。医療行為である経管栄養療法は、医師が行うか、もしくは医師の指示のもと看護士が行わなければなりませんでした。しかし2012年の法改正を受け、一定の要件を満たした介護職員も、経管栄養療法の対応を行うことが可能となりました。

■介護職員が経管栄養療法を実施できるようになった背景

栄養カテーテルイメージ経管栄養療法は、誤った対応をしてしまうと、感染症や挿入部の裂傷などのトラブルを引き起こすリスクがあります。そのため長い間、医師、もしくは看護師のみが実施できる行為でした。

しかしながら、超高齢者社会に突入した現在、経管栄養療法の対応を必要とする高齢者が急激に増加し、医師や看護師のみで対応することが現実的に難しくなりました。経管栄養療法は、高齢者が生きていく上で必要な栄養を体に送り込むためのケアです。経管栄養療法が十分に行えないことは、高齢者の方の生命維持を脅かすこととなります。このようなことから、喀痰吸引等研修の受講など条件を満たした介護職員も、経管栄養療法を実施することができるよう法改正が行われたのです。

■介護職員が経管栄養療法を実施するための条件

介護職員が経管栄養療法を実施するためには、以下の条件を満たしている必要があります。

・喀痰吸引等研修の受講を完了している
・「認定特定行為業務従事者」の認定証を取得している
・「登録喀痰吸引事業者」に登録済みの施設や事業所にて就業している

■経管栄養療法に必要な器具の取り扱いについて

経管栄養療法を実施する際に必要な、栄養カテーテルなどの器具の洗浄や後片付けなども、前述の条件を満たした介護職員であれば行うことができます。しかしながら、適切な取り扱いが必須であるため、可能であれば、医師、もしくは看護師が定期的に栄養カテーテルの状態などを確認し、必要に応じて買い替えるなどすることが理想的だと言えるでしょう。

栄養カテーテルなどの器具は、医療用品専門店などで購入できるほか、一部の通販ショップでも購入できます。通販ショップの場合、手軽に購入でき、また同じショップを使えば前回の購入記録が残るため、同じ商品を継続して入手しやすいです。栄養カテーテルを購入できる通販ショップは数多くありますが、非常に繊細な器具ですので、信頼できるショップを選ぶことが重要です。一例ですが、医療用品専門の商社が運営しているHeartPlusというショップは、病院で使用しているものと同じ栄養カテーテルを購入することができるため、大変おすすめです。栄養カテーテルを通販ショップでも購入する際は、このような信用度の高いショップを選ぶようにしましょう。

<栄養カテーテルの挿入方法>

栄養カテーテルには経鼻、経口、胃ろう、結腸タイプがありますが、経鼻タイプのものの挿入方法について説明します。鼻腔を通して挿入しますが、挿入時にもっとも気を付けるべきなのは挿入中の嘔吐による誤嚥(ごえん)や気管への挿入です。誤嚥させないためには、できるだけ上半身を起こして可能なら座った状態で挿入することです。鼻腔に潤滑剤を塗り、ゆっくり丁寧に挿し込みます。15センチ程度挿入すると、管の先端が咽喉に出るので、唾をのみ込むタイミングで丁寧に挿し込み、気管へ入らないよう注意します。50センチ程度挿入すると胃に到達します。